うきー! 本を読むとほんとにタメになる話がたくさん載ってるモンキ。
まだ今週は二日目。もう四日ぐらいシゴトした、というぐらい消耗しているのにまだ三日もあるのだ・・・。
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ツラいときは自分より悲しい目にあっている人の身の上を読みたくなります。
晋の王文度の弟・阿智(後の王虔之)は怠惰で根性がひねまがっていたので、そこそこの若者になっても嫁のなりてがなかった。
あるとき名高い文人・孫綽が文度を訪ねて来て、部屋でごろごろしている阿智を見ると、
此定可。殊不如人所伝。
これ定めて可なり。ことに如かず、人の伝うるところに。
「実際見てみたらそんなに悪くないではないか。いろんな人がいうようなダメなやつではまったくないな」
と言った。そして文度に向かって、
那得至今未有婚処。
那(な)んぞ得て今に至るまで婚処有るを得ざる。
「どうして今まで嫁が来なかったのだろうね」
と問うた。
「いや、あまりに怠けものの上に根性も悪いので・・・」
と言いかけると、
「ぜんぜん、ぜんぜん」
とやけに大げさに首を振り、
我有一女、乃不悪。但吾寒士。
我に一女有り、すなわち悪しからず。ただ吾、寒士なり。
「わしにも娘が一人いて、そんなに悪くはないのだが・・・。ただ、わしは門閥も無いし貧乏だからなあ」
と聴こえよがしに呟いて、帰って行った。
孫綽が帰ったあと、王文度はすぐに父の王述(藍田)に手紙を書き、
興公向来忽言、欲与阿智婚。
興公さきに来たりて忽ち言う、阿智と婚せんことを欲す、と。
「孫綽さま(字が興公)が先ほどお見えになりまして、阿智とムスメを結婚させたい、とおっしゃっておられました」
と伝えた。王述は喜び、すぐに使いを立てて孫綽のムスメを嫁に迎えることにした。
既成婚、女之頑嚚欲過阿智。
既に婚を成すに、女の頑嚚(がんぎん)阿智を過ぎんと欲す。
結婚後にわかったのだが、この女の性格、イジワルで口やかましく、阿智の根性の悪さなど及びもつかぬほどであった。
ここに至って、
方知興公之詐。
はじめて興公の詐なるを知る。
ようやく孫興公にだまされたのがわかった。
そうです。ああ恐ろしや。
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「世説新語」巻十九・仮譎篇より。
おいらはコドモだから一人暮らしなので、シゴトで消耗しても家庭では消耗しないのでいいのですが、家庭でも消耗するひともいるのでたいへんでちゅね。
ところで「世説新語」に注を付した梁の劉孝標というひとの奥さんもひどいひとだったんだそうで、
孝標悍妻在室、家道傾。
孝標は悍妻室に在りて家道傾く。
劉孝標はコワいよめさんが家にいたので、とうとうその家は滅んでしまった。
んだそうである。