どこに行くのかブタ電車。
一週間で今日だけは心がやすらぐ日なので、今日は耳を澄ましてみましょう。
耳を澄ますと、↓のような音が聞こえてきませんか?
・・・・・・・・・・・・・・・
秋ならば、
残荷聴雨声。
残荷に雨声を聴く。
枯れたハスの葉に落ちる雨の音が聴こえませんか。
これをじっと聴いていると、
感人世纏綿之情。
人世纏綿の情を感ぜん。
ひとの世のわびしさ・かなしさを感じてきませんかな。
夏ならば、
稲田聴蛙鼓。
稲田に蛙鼓を聴く。
稲の育ちかけた田に鳴き騒ぐカエルの音楽が聴こえてきませんか。
これをじっと聴いていると、
識宇宙活溌之機。
宇宙活溌の機を識らん。
世界の生き生きとした活動の動きを認識してきませんかな。
冬ならば、
籬落聴童語。
籬落に童語を聴く。
まがきの向こうで、コドモたちが呼び合っている声が聴こえませんか。
これをじっと聴いていると、
悟造物天真之趣。
造物天真の趣きを悟らん。
世界を造った天の本当の気持ちがわかってくるんではないですかな。
それから、
烹茗聴瓶響。
茗を烹るの瓶の響きを聴く。
お茶を煮ている瓶のごとごという音が聴こえませんか。
これをじっと聴いていると、
明混沌陰陽之理。
混沌陰陽の理を明らかにせん。
物質と運動のことわりが明白になってくるような気がしませんかな。
それから、
霜天聴鶴唳。
霜天に鶴の唳(な)くを聴く。
寒々とした空からツルの鳴き声が聴こえてきませんか。
これを聴けば、
知君子処世之志。
君子世に処するの志を知らん。
立派なひとが世に対処していくにはどう考えればいいか、わかるというものではありませんかな。
あくまで清らかに、濁りに汚れること無く対処していかねばなりませんぞ。
これらは、
自然之声教也。
自然の声教なり。
天地自然が声を出して教えてくれているのである。
しかも無料で。勉強させていただかねばなりません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
清・終帰居士「意気譜」第122条。
ただいま耳を澄ませていますと、ムシの声が聴こえます。ときおり通り過ぎていく車の音。遠い電車の音。あ。どこかの家で誰か怒鳴っている・・・。とりあえず人の世には、土曜日の夜にさえ争いの絶えせぬことが知られた・・・。