これはブタかタコか。
相変わらず、毎日毎日昼間は眠いです。今晩こそ早く寝ないと。
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隋のころ、長安のひとが江南の呉の地に行った。
呉のひとが「筍」(タケノコ)というモノを煮て食わせてくれたが、なかなか美味い。
華北では「タケノコ」など見たことが無かったので、
「これはナニモノですかな?」
と問うに、呉ひと答えて、
曰、竹也。
曰く、「竹なり」と。
言うに、「要するにこれは竹ですよ」と。
長安に帰って、ある日、市場で敷物の「簀」(サク。すのこ)を見かけ、商人に
「これはナニだ?」
と聞くと、商人答えて曰く、
「これは、要するに竹を編んだものでございます」
と。
「これは竹なんだな」
そこで喜んでこれを買い求め、
帰煮其簀、不熟。
帰りてその簀を煮るも、熟せず。
家に持ち帰って早速そのすのこを煮てみたが、少しも柔らかくならない。
そのひと、憤然として曰く、
呉人轣轆、欺我如此。
「呉人の轣轆(れきろく)たる、我を欺くことかくの如し」と。
「呉のやつらはうそつきだ。わしをこんなふうにだまくらかしおって!」と。
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唐・侯白「啓顔録」より。「啓顔録」は笑話集なのでこれも笑い話なんです。あ、そうなんですか。
わっはっはっはっは。ああ可笑しいなあ。
ところで、謎が一つ残ります。
なぜ肝冷斎は「轣轆」(レキロク)を「うそつき」と訳したのか。早く寝ないといけないのですが、気が済まないので調べます。
「轣轆」(れきろく)という言葉、もとは車輪が回る時の音から出来た(「ぐるんぐるりん」のような)オノマトペであったようですが、まず「車輪が回る時の音」から「車の跡(わだち)=軌道」の意味になったそうです。そして、
車軌道謂之轣轆。借軌道為詭道也。
車の軌道これを轣轆と謂う。軌道を借りて詭道と為せり。
車のわだち=「軌道」(キドウ)のことを「レキロク」というようになったことから、「軌道」と同音の「詭道」(相手をいつわりだましてことを為す手法)に当てたのである。
なるほど(「廣雅」による)。
謎はすべて解けた! ・・・と確信して、風呂入って寝ます。(またこんな時間になってしまった・・・)