白雲生ずるところにも人家あり。理由はわからない。説明できない。
やっと週末。今週は乗り越えられまいと思っていたが、なんとか乗り越えた、というか過ぎ去った。
「おまえなどがよく乗り越えられたな。どうやって乗り越えたんだ?」
と訊ねられましても、説明できない。
・・・・・・・・・・・・
さて、宋の時代のことでございます。
開徳府のとある読書人の家で、
貯水瓷甕、忽有菌生其腹。
水を瓷甕(じおう)に貯うるに、たちまち菌のその腹に生ずる有り。
水を陶器のカメに溜めていたところ、このカメの外側のふくらんだあたりに、突然キノコが生えてきたのであった。
「どうしてこんなところに生えたのであろうか」
観察すると、
隠然而出、植根甚堅、触之不落。
隠然として出で、植根はなはだ堅く、これに触るれども落ちず。
根の方はカメの中に入りこんでおり、たいへんしっかりと引っ付いていて、触ってぐりぐりしても取れなかった。
「不思議なことだなあ」
と感嘆していたが、
数日大如人手。光潤Y然。
数日にして大いさ人の手の如し。光潤ありてY然たり。
数日のうちに、人間の手ぐらい大きくなった。表面には濡れたような光があり、きらきらと輝いているのであった。
「これは仙薬の芝草ではないか」
という人があって、これを削り取って服用してみたところ、病人も健やかに、老人も若やいだということだ。
ああ。
陶器堅滑、非可生物。理莫可詰。
陶器は堅く滑らかにして物を生ずるべきにあらず。理の詰すべきなし。
陶器は堅く、表面はつるつるである。どうしてそこにモノが生えたのか。説明できる理屈はない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宋・郭彖「睽車志」巻二より。
説明のできないこともあるものなんですなあ。(カビじゃないかとも思うけど・・・)