「どろん」と消える。この世から?
―――わたしがいない間にこのHPを更新している、おまえは誰だ?
とうとう見つけたぞ、おまえは―――わたしの影なのか?
ええい、おまえなど消えてしまえ!
わたしのプラスとおまえのマイナス、交わればゼロに変じて、より強い方が生き残るのだ!
ビビビビビビ・・・・・
どっかーーーーん!!!!!
ぐわっーー!
・・・やった。消えた。やつは消えたぞ。
・・・・・・・・・・・・・・・
さて、「消える」といいますと、これは唐の元和年間(806〜820)のことなのでございますが、太原(山西)の節度使・王鍔之が朝廷の脅威となっておりましたころ。
王鍔之の本陣でのこと。
一日亭午、有小吏見一神人。
一日亭午、小吏の一神人を見る有り。
ある日のちょうど正午の時分、小役人の一人が、「神秘のお方」を目にした。
そのお方は、
長丈余、介金仗剣、自衙門緩歩而来。
長(たけ)丈余、金を介し剣を仗し、衙門より緩歩して来たる。
背丈は2メートル以上、黄金のぴかぴかの鎧を着け、剣を帯びて、役所の門からゆったりと歩いて入ってお見えになったのである。
そして、
佇立久之、若有所伺。
佇立これを久しくして、伺うところ有るがごとし。
役所の中庭まで来て、しばらくの間たたずんだままで、何か様子を見ているようであった。
「あわあわわ」
小役人はこのお方の姿を見て、
懼甚、白於衙将。
懼るること甚だしく、衙将に白(はく)せり。
大いにびびりまくり、警備の将校にこのことを告げた。
「し、「神秘のお方」がお見えに―ーー!」
「何を言っておるのだ」
警備隊の靳坦(きんたん)、張和という二人の隊長、半信半疑で出て来て、
偕視之、如小吏言。
ともにこれを視るに、小吏の言の如し。
二人ともに、小役人の言うとおり、「神秘のお方」がおられるのをその目で見た。
「むむ! た、確かに「神秘のお方」じゃ」
「いったい何の御用でお見えになられたのか?」
と言っているうちに、
俄有暴風起、因忽不見。
にわかに暴風起こり、因りて忽ち見えず。
突然にわかに烈しい風が吹き起こって、砂埃で何も見えなくなってしまい、ようやく風の已んだときには、もうそのお方の姿はどこにも無かった。
「き、消えた?」
「いずこへ?」
二人は茫然と立ちすくむばかりであったという。
後月余而鍔薨。
後、月余にして鍔薨ず。
その後ひと月あまりして、王鍔之は死亡した。
おそらくその前触れであったのであろう。
・・・・・・・・・・・・・・
唐・張讀「宣室志」巻二より。この「お方」は、きれいさっぱり消えたのですね。
さて、ところで、プラスとマイナス、消え残ったおいらは、どちらの肝冷斎だと思いまちゅか?