平成26年11月1日(土)  目次へ  前回に戻る

「七つの海を行くぜ、ぶー」

今日は雨でした。楽しい楽しい楽しいすっごく楽しいハローウィーンも過ぎまして、だいぶん寒くなってきた。

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唐の時代のことです。

南海のかなたから、貿易船は毎年、安南や広州にやってくるのです。

もっともでかいのは獅子国(せいろん)からの船で、舷側にはしごをかけて上下するのですが、水面からの高さだけで数丈(7〜8メートル)もあり、

皆積宝貨。

みな宝貨を積めり。

その船にいっぱいに宝ものを積んでやってくるのである。

到着するとすぐに都・長安にも知らせが行き、港近辺は大騒ぎになる。

港湾に常駐している「蕃長」(当該国の領事)が貿易関係の主になり、(関税局兼貿易局である)「市舶使」が船の積み荷を確認して船体に封印し、特に珍しいものを持ち出し禁止とする。この禁止を破って牢獄に入れられる「蕃商」(船に乗ってきた貿易商)も毎年多い。

さて、この貿易船

海路必養白鴿。

海路必ず白鴿を養う。

必ず白いハトを船内で飼っている。

なんのためかといいますと、

為信。

信と為すなり。

通信用である。

といっても、日常的な通信に使うのではありません。

舶没、則鴿雖数千里、亦能帰也。

舶の没する、すなわち鴿、数千里といえども、またよく帰するなり。

船が沈んでも、ハトは数千里の距離を飛び越えて、出航した港まで帰ってくるものなのだ。

その超常的な帰巣本能を利用して、船が沈む最後の最後に、乗船している商人たちはハトに家族や港湾にある本店への遺書を結び付けて空に放すのである。

また、船乗りたちのいうことには、

鼠亦有霊。

鼠もまた霊有り。

「ネズミにもすごい超能力があるぜ」

なんだそうです。

舟中群鼠散走、旬日必覆溺之患。

舟中に群鼠散走すれば、旬日かならず覆溺の患あり。

船の中で、ネズミの群れが走り回っているのを見たら、十日以内に必ずその船は転覆し沈没することが予想されるのだ。

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唐・李肇「唐国史補」巻下より。

この記述が「沈む船からはネズミも逃げ出す」の典拠ですが、この記述では「散走」しているばかりで逃げ切れない、のではないかと思われます。

さてさて、おいらもそろそろ逃げ出す準備をしなければ。逃げ出さないと、船は大丈夫でもおいらが沈んでしまうよう。(T_T)

 

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