うわー、まだ火曜日だよー。
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百姓のじじいの一人ごと。
我年近七十、 我が年、七十に近く、
与世長相忘。 世と長くあい忘れたり。
わしの年齢はまもなく七十歳になるぐらい。
長いこと世の中のことに関心は無くしているし世の中の方もわしのことは忘れてくれているようじゃ。
筋力幸可勉、 筋力さいわいに勉むべく、
扶衰業耕桑。 衰を扶けて耕・桑を業とす。
ありがたいことに、まだ働ける程度には筋肉の力があるので、
衰えいく体でなんとか、畑を耕し桑を摘んで蚕を養うのを生業としているのじゃ。
身雑老農閨A 身は老農の間にまじわり、
何能避風霜。 何ぞよく風霜を避けんや。
わしは年寄りの百姓のひとりとして生きているのだから、
風に吹かれ霜に痛めつけられるのは当たり前なのじゃ。
夜半起飯牛、 夜半起きて牛に飯せしめば、
北斗垂大荒。 北斗、大荒に垂る。
「大荒」は古代の地理書「山海経」に出てくる地域概念で、「地の果て」をいう。
真夜中ごろに起きて、ウシに餌を食わせながら空を見上げれば、
北斗星は北の方(金国に占領されている)地の果ての地平線に垂れさがっていた。
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南宋・陸放翁「晩秋農家」(「剣南詩稿」所収)より。
だいぶん衰えてきてはおりますが、筋力はさいわいにまだデスクワークをするぐらいはある。しかし風霜に痛めつけられるのにはもう飽きてきているのじゃ。
渡り鳥仰ぎ仰いでよろめきぬ (松本たかし)