青天のもと。
昨日から入れ替わった新・肝冷斎です。早速昨日の続きを・・・と思ったのですが実は肝冷斎はかなり忙しかった。くそー、こんな忙しいの引き継ぎやがって。覚えてろよ、旧・肝冷斎め。
昨日の宿題はちょっと長くなってしまいそうなので、週末に回させていただきます。
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それにしても台風過ぎて今日は青い空でございました。
心体光明、暗室中有青天。
心体光明なれば暗室中にも青天あり。
この「体」はメンタルに対する「フィジカル」ではなく、「用」に対する「体」、「はたらき」に対する「本体」の意。
こころの本体に曇り無く、光輝いているならば、暗い部屋の中にいても青空の下にいるように晴れ晴れとするであろう。
これに対し、
念頭暗昧、白日下生視S。
念頭暗昧(あんまい)なれば白日の下に視Sを生ず。
あたまの中が暗くて、見通しもつかないようならば、真昼間の太陽のもとでもたたりをなす幽霊が現れることであろう。
心に疚しいところ、影になること、があると、いろんなまぼろしを見て判断を誤ってしまうんですね。
みなさんは今日のような好天でも、昼間から視S(たたりをなす幽霊)が見えたかな? もちろんこの「霊鬼」は、おどろおどろしい姿をしているとは限らず、名誉とか地位とか富貴とか異性の誘惑とか他者への優越感とか、とにかく魅力的な姿に化けていたりするので用心が必要である。
たとえば、
人知名位為楽、不知無名無位之楽為最真。
人知飢寒為憂、不知不飢不寒之憂為更甚。
人は名位の楽たるを知るも、知らず、無名無位の楽の最も真なるを。
人は飢寒の憂いたるを知るも、知らず、飢えず寒からざるの憂いのさらに甚だしきことたるを。
みなさんは名誉や地位を得ることが快楽であるということばかり御存知で、名も無く地位も無い境遇こそ、もっとも本源的な快楽であることを御存知ない。みなさんはまた空腹と寒さが心配なことであることばかりを御存知で、食べるものが十分ある暖かな生活こそ、(安楽で堕落してしまうため)それよりもっと心配な状況である、ということを御存知ないのだ。
「青い鳥」に出てくる「にせもののシアワセ」の代表格である「名位の楽」には気をつけねばなりませんなあ。
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いずれも明・洪自誠「菜根譚」前集より。
ただし、安楽で堕落しているのは心配な状況ではない感じがしますけど。