ついにお盆に突入してまいりましたが、しごとツラい。
人間世界は五十年ぐらいの寿命なので、化天のひとたちの寿命に比べると夢幻のように過ぎ去ってしまうから、もっと有意義に生きなければ、と思ってしまいます。
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士銜枚、 士は枚(ばい)を銜(ふく)み、
馬結舌。 馬は舌を結ぶ。
兵士たちは口にくわえものをし、馬は舌を結んで、いずれも声を出さないようにする。敵に感づかれないためである。
桶峡如桶雷擘裂、 桶峡(とうきょう)は桶の如く、雷は擘裂(はくれつ)し、
驕龍喪元敗鱗飛。 驕れる龍は元を喪い、敗鱗飛びて、
撲面腥風雨耶血、 面を撲(う)つ腥風は雨か血か。
桶狭間の地は桶の底のような凹地で、時に電光はげしく雷鳴とどろき、(奇襲にはもってこいの状況であった、)
強大な力を持つと自ら思っていた龍は、「首」を失ってしまい、破れたウロコが風雨の中に飛び散った。
闘い終わったとき、なまぐさい風とともに兵士らの顔をたたいたのは、雨だったか、あるいは血だったのであろうか。
いずれにしましても、
一戦始開撥乱機、 一戦して始めて撥乱の機を開き、
万古海道戦氛滅。 万古に海道の戦氛(せんふん)滅し、
唯見血痕紅絞纈。 ただ見る、血痕の紅絞纈を。
この一戦こそ、やがて戦乱の世を終わらせることになる動きの最初のはたらきであったのだ。
その後、東海道にはいくさのフンイキが立ち込めることは無くなり。
いまとなってはただ血の痕が染みついたような染物、東海道名物・真っ赤な鳴海絞(なるみしぼり)を見るばかり。
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頼山陽「日本楽府」より。
「桶狭間の戦い」なんて、史実としてほんとに奇襲だったのかとか、今川義元がほんとに衆を頼んで酒宴を開いていたのかとか、だいたい桶狭間なんて土地がほんとにあったのかとか、ほんとのことではないような気もしますが、とりあえずみんなが知っているつもりのことなので、詩の背景についての解説をしなくてもいいのですごい楽チン。