平成26年2月1日(土)  目次へ  前回に戻る

 

二月になった。しかし、ああー。ううー。やる気ない。・・・月が替わって少しは上向きになっていくのだろうか。

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阮春光なるひとは至霊州のひとだが、少年を過ぎてから発憤して読書し、官吏登用試験を目指したのであった。

むかしの読書は声を出して読む。彼は熱心に勉強して、

昼夜吚唔不輟、声又雄重、隣里咸為掩耳。

昼夜「吚、唔」として輟(や)めず、声また雄重にして、隣里みな耳を掩うを為す。

昼も夜も「いーー、おーー」と読み上げ続けた。声がまた太くて大きかったので、隣近所はみんな耳を覆って困っていた。

クレームが来たので、

姉遇之、哂曰、确地豈有鰌耶。

姉これに遇い、哂いて曰く、「确地あに鰌有らんや」と。

おねえちゃんが面会して、「ふふん」と見下したように笑いながら言った。

「実りの悪い荒地に、なまずがいるのかしらねえ?」

「ど、どういうことだよ?」

确地=荒れ地、というのは「試験になかなか受からない地域」の意味があります。おねえちゃんは「いーー、おーー」とうるさいのを地震に喩えて、

「試験にも受からない人の住んでいるところに、地震を起こすナマズが住んでいるのかなあ?」

とイヤミを言ったのである。

「く、・・・くそう」

春光は

不顧、読益苦。

顧みず、読むことますます苦なり。

そんな苦情もはねのけて、今まで以上に一生懸命読書した。

その甲斐あって、翌年、都の試験に合格して、進士となった。

既帰、宴親朋。

既に帰り、親朋と宴す。

村に帰ってきて、親類や仲間たちを呼んで祝いの宴会を開いた。

そのとき、

置一大鰌於筵前、謂姉曰、确地無鰌、然有者極大。

一大鰌を筵前に置いて、姉に謂いて曰く、「确地に鰌無し、しかるに有らば極めて大なり」。

巨大なナマズを手に入れて来て、テーブルに置き、おねえちゃんに向かって言うに、

「荒れ地にはナマズはいないんだよ。だけど、いるときは巨大なのがいるんだよ!(おいらは試験に合格するという巨大な成果をあげた人間だぜ!)」

「わはは、よう言うたぞ」

満堂鬨然。

満堂鬨然たり。

建物中のお客さんが、「どっ」と声をそろえて称賛した。

「はいはい、どうもごめんなさいね」

と、おねえちゃんも謝ったということでございます。

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こんなふうにいいことあるといいなあ・・・。越南・阮鼎臣「喝東書異」より。

ああー。ううー。あと三十四時間ぐらいで・・・。

 

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