昨日からお東京、すさまじい暑さです。沖縄のようにすかっとした暑さではないからこれはいかん。水分とらなきゃと思ってコーラ、塩分とらなきゃでぎとぎとラーメン食ったので、今日は心臓が・・・。しかも足が痛い。
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漢の武帝のころ、張寛という人が揚州刺史となって赴任したとき、
先是有二老翁争山地、詣州訟境界、連年不決。
先にこれ、二老翁の山地を争いて、州に詣りて境界を訟え、連年決せざるあり。
ずいぶん前から、二人のじじいが山の領有を争って州の役場に境界の確認を訴え出、もう長いこと決着がついていない、という事件を引き継いだ。
張寛、
「はあ。まあとりあえず二人のじじいからお話を聞いてみますかねえ」
と州府のお白洲に呼び出して、二人にそれぞれの言い分を質した。
二人はともにすさまじい老齢で、それぞれ長いひげを生やし、その背格好や顔立ちはまるで兄弟のように似ていたが、一人は青黒い衣を、今一人は白い衣を着ており、さらに白い衣の方の翁は瞳が炎のように赤いので見分けがついた。二人とも相手を批判する言葉を発するとき、長い赤い舌を出すが、その舌の先が二つに分かれているのである。
彼らがかわるがわるこれまでの調書に書いてあるとおりの主張を繰り返している間中、張寛は
窺二翁形状。
二翁の形状を窺えり。
二人のじじいの様子をとくと観察していた。
「・・・ええいうるさい、騙されてはなりませぬ、こやつの言うことはすべて偽りにござる」
「・・・ええいうるさい、欺かれてはなりませぬ、そやつの言うことはすべて詐りにござる」
と二人のじじいが激しく興奮してまいりました、その時、
「くわっーーーー!!」
張寛はついに大声を発して、曰く、
「今まで黙っておまえたちを観察しておったが、
汝等非人、何精。
汝ら、人にあらざらん。何の精ぞ。
おまえたちは人間ではあるまい! いったい何の精霊だ!」
その途端、二人のじじい、まばたきをせぬすごい目で張寛を睨みつけながら、
「ぎゃ!」「ぎゃ!」
と叫ぶや、ぴょうんと飛び退いてお白洲の門から逃げようとする。
だが、張寛の
「逃がすか、出会え!」
の声に門の外から棒や戟を引っさげた兵士らが現れた。
「じじいども、逃げられぬぞ。さあ、まことの姿を見せるがいい。
くわっーーーーー!」
寛呵格之。
寛、呵してこれを格(ただ)す。
張寛は、再び、人とも思えぬほどの大声でじじい二人を叱りつけた。
瞬間、
ぼうううううん。
じじい二人は
化為二蛇。
化して二蛇と為る。
人の姿を維持できず、二匹のヘビと化した。
一方は青黒く、一方は白く、白いヘビは目は紅色、二匹ともとぐろを巻いて人の大きさとなるほどの巨蛇であった。
二匹は「しゅううう」と黒い霧のようなものを吐き出すと、それが強い毒分を含むらしく、屈強の兵士らも目を覆うて倒れ伏してしまった。
張寛も毒気に打たれて体の自由が利かぬうちに、二蛇は州府の塀によじ登り、外に出てその姿をくらませてしまったのであった。
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・・・のだそうです。「捜神記」より。
週末はやっぱりこんなバカ話がいいでしょう? さあ、風呂入ってさっぱりして寝るよ。わははは。・・・来週が来ない、明日か明後日でこの世が滅ぶ、ということに確実になっていたりすると、もっとさっぱりするのだけどなあ・・・。