・・・さ・・・い・・・。りゅ、琉球童子で・・・ち・・・う。今日は終了間際にシゴト爆弾をたくさん放り投げられた・・・この先どうすればいいのか・・・。
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蓑翁(みのを着た老人)が田を耕していたのさー。
面有楽色。
面に楽色あり。
その顏はよろこびに満ちていた。
これを見て、路上の紳士は問いかけた。
年老耕田、逸乎労乎。
年老いて田を耕すは逸か労か。
そのお歳になって田をお耕しになっている。心地いいのですかな? ご苦労ではないですかな?
蓑翁曰く
公乗馬往、逸乎労乎。
公、乗馬して往く、逸か労か。
あんたは馬に乗ってどこかに向かっておられるが、心地いいのですかな? ご苦労ではないですかな?
紳士は笑って言った、
「田を耕すのはご苦労なことでしょう。馬に乗っているのは心地いいものです。これは女コドモでも知っていることですよ」
これを聴いて、
「ぶ」
蓑翁、思わず吹き出しした。
「なにか?」
「いや、あんたは相応の知識人で人民を指導する立場にあると思うが、
知其一而忘其二可乎。
その一を知るもその二を忘るるは可ならんか。
第一の意味を知っているだけで、第二の意味を知らないふりをする、というのでよろしいのかな?」
「むむむ、どういうことですかな?」
「あんたは馬に乗ってお役所づとめに行かれるのでしょう。よろしいか。
躬耕獲稲、楽莫大焉。任官不当、恥莫大焉。恥即労也、楽即逸也。
躬耕して稲を獲、楽の大なるなし。任官して当たらず、恥の大なるなし。恥はすなわち労なり、楽はすなわち逸なり。
わしはみずから耕して稲を収穫するのですぞ。こんなよろこびがまたとあろうか。あんたはお役所づとめに行ってイヤな思いをするのですぞ。こんなつらいことがあろうか。つらいこととはご苦労なことでござろうが、喜びがあるのは心地いいものでござります」
「や、や、や」
紳士は馬上で大喜び。
にこにこしながら申しましたとさ、
吾問一而得二。
吾、一を問いて二を得たり。
「わたくし、耕田が心地いいか苦労であるか一つのことを訊ねただけなのに、躬耕のよろこびと役所づとめのイヤであることという第二の意味を二つも教えてもらえましたのさー」
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琉球国18世紀の詩人政治家であった蔡温の「蓑翁片言」第一則。蔡温というひとは優秀な分、きついところもあるひとですが、この「蓑翁片言」では自らを「蓑翁」に比して、世上一般の富貴を求める生き方を批判しているようです。それにしても亜熱帯の光の下、大きな虫がぶんぶんと飛び交う中でこんなを会話をしていたら熱中症になりませんか・・・と心配になりますが、46則まであるので大丈夫だったのでしょう。
・・・ほんとにシゴトまずいので明日は行けない。久しぶりで自○も考えないといけないかも・・・。とりあえず蓑でもかぶってどこかに隠れてしまうか。
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