唐状元の回答 (平成24年8月19日) 目次へ 8月19日に戻る
朝鮮王から下問された唐状元は、いささかも慌てず、
魑魅魍魎、四小鬼各自肚腸。
魑魅魍魎、四小鬼各自に肚腸あり。
妖精・地霊・悪霊・幽鬼、(山野に隠れる)四つの精霊たちは、それぞれ違う内臓を持っておりまする。
とお答えしたのでございます。
朝鮮王の御下問の「琴瑟琵琶」には、上に八つの「王」の字が並んでおります。朝鮮王はそのことを、「八大王はみんな頭と顏が同じじゃなあ」と謎かけた。
謎を解くだけでなく、同じような機知にとんだことを、対句でお返ししなければなりません。しかしそこは状元の称号を持つ大秀才。
「魑魅魍魎」には、四つの「鬼」がありますが、それぞれ腹に抱いた字(旁)は違う。これを「内臓(肚(ハラ)と腸)が違います」としゃれ込んだのだ。
「いやあ、あったまいい〜」
朝鮮王とその側近たちはその回答を聴いて、
大駭服。
大いに駭(おどろ)き、服せり。
たいへん驚いて、「まいりました」と感服した。
「さすがはチュウゴクのお方じゃなあ」
と称賛すること一方ならず、唐皋は使臣としての使命を全うしたのである。