恥ずかしい。世の中に顔向けができないぐらいである。
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みなさんは見たことないでしょうが、虢(カク。陝西・宝雞にあり)の地方に、「謝豹」(しゃひょう)と呼ばれるドウブツがおります。ただし「ヒョウ」の一種ではありません。
常在深土中、類蝦蟇、円如毬。
常に深土中にありて、蝦蟇に類し、円きこと毬の如し。
つねに土中深くに棲息し、ガマガエルに似るが、体型は球状を呈す。
このドウブツ、球状であるが足がある。ガマの類だというから四足であろう。その脚のうち、
以前脚交覆首、如羞状。
前脚を以て首を交覆し、羞状の如し。
前脚を交叉させて頭を隠しており、まるで何かを恥じて顏を覆っているようなのである。
この地方には「謝豹鳥」という鳥もおります。
謝豹にとってはこの鳥が天敵で、
或出地聴謝豹鳥、則脳裂而死。
あるいは地を出づるに、「謝豹鳥」の声を聴けば、すなわち脳裂けて死す。
地面に出てきたときに、「謝豹鳥」の鳴き声を聴くと、頭が破裂して死んでしまうのである。
謝豹が地面から割れた頭を出して死んでいるのをよく見かけるのはそのせいであるということだ。
さて。君よ、よく聴くがいい。
ある人の言によれば、
謝豹人也。
謝豹は人なり。
謝豹は、ひとだった。
というのである。
抱恥死、其魄為蟲、潜行地中。
恥じを抱きて死し、その魄、蟲と為り、地中に潜行す。
彼は恥ずかしい思いを抱きながら、死んだのだ。そのたましいのうち天上に昇らなかった部分がドウブツとなり、地中に潜んだのだ。
だから、人に掘り出されるとおもてを覆うて恥じ入るのだそうだ。そして「謝豹鳥」の声を聴くと、おのれの罪を責めているのだと信じて思い悩み、ついにその頭を破裂させてしまうのだ。人として恥ずべき名をのこして死ぬのは、それほどつらいことなのである、と。
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「酉陽雑俎」に載っているお話です。
とりあえず話題にしてみました、というレベルのことですが、今まで生きてある間にすごい恥ずかしいことをたくさんしてしまっているのだろうなあ、と思うとイヤになりますね。頭が破裂しそう。隠逸者だから他人の目を気にしなくていいので、わたしはいいですけどね。
なお、このドウブツはモグラの一種なのかな? それとも「豹」というからには豹文模様のついた、トカゲみたいなやつかな?