疲れました。
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訴えがあった。原告のAの訴え(ちなみに前近代なので刑事事件にも原告がいます)によれば、被告のBは
咬去其耳。
その耳を咬去せり。
「わしの耳を齧りとりおったのです。」
というのである。
確かにAは片耳を失っている。
これに対し、Bが主張するには、
是他自咬的、与小的無幹。
是、他(かれ)自ら咬む、小的と幹する無し。
「それは、Aが自ら齧りとったのでございます。わたくしごときには何の関係がございましょうか」
両者の言い分は真っ向から対立し、しかも現場を目撃した第三者はいない。
裁判官は「う〜ん」と腕を組んで考え込んだ。
――ーさて。あなたならこの訴え、どう裁きますか。
このとき、裁判官の背後に控えていた吏の一人が、
扚己耳、団団走転。
己の耳を扚(ひ)き、団団として走転す。
自分で自分の耳を引っ張りながら、その方向にごろんごろんと転がった。
裁判官は振り向いてその姿を見、激怒して曰く、
這是甚么規矩。
這(こ)のこれ、なんの規矩ぞ。
「おまえはいったい、どういう規則に則ってそんなことをしておるのか!」
吏は転がりながら言うに、
小的在這里詳情。
小的、這(こ)の里(り)に詳情あり。
「わたくしごときは、この中に知恵があるものですから」
「耳の中に詳情がある」、というのは、「わたしには耳学問がありますので」ぐらいの意味なのでしょうね。
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疲れたので、笑い話を讀んでみました。明・浮白主人「笑林」より。
わははは。わははは。・・・はあ。明日もまた・・・。そして明後日も・・・。