平成24年3月8日(木)  目次へ  前回に戻る

 

疲れました。

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訴えがあった。原告のAの訴え(ちなみに前近代なので刑事事件にも原告がいます)によれば、被告のBは

咬去其耳。

その耳を咬去せり。

「わしの耳を齧りとりおったのです。」

というのである。

確かにAは片耳を失っている。

これに対し、Bが主張するには、

是他自咬的、与小的無幹。

是、他(かれ)自ら咬む、小的と幹する無し。

「それは、Aが自ら齧りとったのでございます。わたくしごときには何の関係がございましょうか」

両者の言い分は真っ向から対立し、しかも現場を目撃した第三者はいない。

裁判官は「う〜ん」と腕を組んで考え込んだ。

――さて。あなたならこの訴え、どう裁きますか。

このとき、裁判官の背後に控えていた吏の一人が、

扚己耳、団団走転。

己の耳を扚(ひ)き、団団として走転す

自分で自分の耳を引っ張りながら、その方向にごろんごろんと転がった。

裁判官は振り向いてその姿を見、激怒して曰く、

這是甚么規矩。

這(こ)のこれ、なんの規矩ぞ

「おまえはいったい、どういう規則に則ってそんなことをしておるのか!」

吏は転がりながら言うに、

小的在這里詳情。

小的、這(こ)の里(り)に詳情あり。

「わたくしごときは、この中に知恵があるものですから」

「耳の中に詳情がある」、というのは、「わたしには耳学問がありますので」ぐらいの意味なのでしょうね。

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疲れたので、笑い話を讀んでみました。明・浮白主人「笑林」より。

わははは。わははは。・・・はあ。明日もまた・・・。そして明後日も・・・。

 

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