昨日は所用にて更新できませんでした。今日も眠くて目がちくちくします。
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明の始めごろ、西域から一人の僧がチュウゴクにやってまいりました。
この僧、非常によく人相を見た。
浙江・四明の袁廷礼なるおとこ、その術を得ようと思い、西域僧に入門を願った。
僧、弟子入りにきた袁廷礼をじろじろ見たあと、おもむろに、
令袁視日。
袁をして日を視せしむ。
袁に「お日様を見つめてみなされ」と命じた。
「あい」
袁はお日様を見つめた。
眩しい。
「まだまだ見つめなされ」
「あい」
「もうしばらく・・・」
「あい」
「よし、ではこちらを見なされ」
久之雑以黒白豆令揀之。
これを久しくして、黒白豆を以て雑え、これを揀(えら)ばしむ。
ずいぶんしばらくお日様を見させたあと、箱の中で混ざった黒豆と白豆を選び取らせた。
お日様を見つめていたせいで、袁の視界はほとんど真っ白であったが、その中に点々と黒い豆のあるのが見てとれたので、何とか選び分けることができた。
それを見た西域僧は
「うむ、合格じゃ」
と言いました。
「あれだけお日様を見つめれば目がつぶれてしまう者も多いというのに、よくぞ白黒を見分けた。これだけの視力があればよい人相見となることができよう」
「あい〜」
かくして、
遂以其術伝之。
遂にその術を以てこれに伝う。
そのすごい人相見の術を、袁は残らず伝承したのであった。
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清・姚之駟編「元明事類鈔」巻十八より。もと「霏雪録」という書に出るという。
最近、老眼もたいへんなのですが、飛蚊症もひどくていつも目の前を黒い点がちらちらしているので、困ります。目のいいひとはすごいですね。