平成24年1月13日(金)  目次へ  前回に戻る

 

あかん。さっき夜中のドライブから帰ってきて、駐車場に入るところで車擦ったった。ちょっと車体へっこんだ。

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心もへこんだ。

こんな夜は、現実逃避するしかないのだ。為すべきことは明日に回して、ブルースでも聞いてはやめに眠るしかないぜ。

所思兮何在。  思うところはいずくにかある。

乃在西長安。  すなわち西のかた長安にあり。

 あたいのあのひとはどこにいるかしら。

 あのひとは西のかた、長安のまちにいるのだ。

何用存問妾。  何をもって妾を存問す。

香鐙双珠環。  香鐙と双珠環と。

 あのひとはあたいに何を送ってくれたのか。

 香をたく皿と一揃いの珠の耳環。

あたいはうれしかったのよ。

それなのにさあ・・・

今我兮聞君、  今、我は聞く 君

更有兮異心。  さらに異心あり、と。

 最近風のうわさであたいは聞いた。

 あんたにいいひとができたらしいと。

香亦不可焼、  香もまた焼くべからず、

環亦不可沈。  環もまた沈むべからず。

 お香はもう焚かないようにする。

 耳環はもう水に沈めて占わない。

(当時、「環」を水に沈めて、思うひとの無事を祈る習俗があったのであろう。)

香焼日自歇、  香は焼けば日におのずから歇(や)み、

環沈日自深。  環は沈みて日におのずから深からん。

 お香を焚けば毎日毎日減っていくばかりだし(あんたがもう送ってくれないだろうから)、

 耳環を沈めれば毎日毎日沈んで行って、二度と耳環にもあんたにも会えないだろうから。

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これは傅玄「西長安行」(西のかた長安のうた)。(「玉台新詠集」巻二

我が師・木偶庵老人(でくあんろうじん)お奨めのブルースである。

ところで、我が國には、次のような箴言がござる。

遊び上手なやつに だまされていると聞いた

噂だけだね 純子  純子 僕は淋しい   (中略)

風は話をつくる  だから噂はきかない           

信じているのさ 純子  純子 便りをおくれ (遠藤実作詞・作曲、小林旭先生「純子」)

晋代の女の子も、この「僕」のように「だから噂はきかない」と現実逃避して開き直っておれば、わずかな間だけはなおシアワセでおられたじゃろうにのう。

 

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