来年はタツ歳だそうです。十二のドウブツから成る「十二生肖」を十二支に当てはめるのは、漢代以前からというずいぶん古い歴史があることなのですが、二枚貝の象形で、貝製の農具も表わす「辰」が、なんで「タツ」で「龍」なのか、といわれるといささか説明に窮します。・・・窮しませんか?
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ある船乗りに聞いた話。
―――蘇州の東へ、船で五日か六日ほどの行程で、小さな島に至りつくのさ。
小さな島、と言いましても
濶百余里。
濶(ひろ)さ百余里なり。
―――差しわたし、五〜六十キロメートルはあろうというぐらいだがな。(←一里=560mで計算した)
ですから、甑島よりは大きい。九州島よりは小さい。沖縄本島ぐらいかな。
四面海水粘濁。
四面の海水、粘濁す。
―――この島の周囲は、海水が粘り、濁っている。
というので、もしかしたら火山島で、火山からの噴出物がにゅるにゅるになっているのかも知れぬ。
―――ときにはこの水が澄んでいることがあるが、そのときは風が無くても数丈の高波が島のまわりを取り巻いているので、船は近づくことができないのだぜ。
―――しかし、大潮のときになると、島は水中に没してしまい、船は気づかずにその島の上を通り過ぎてしまうという寸法だ。
どういうときにも、その島には上陸ができない、というのである。
夜中遠望、此水上、紅光如日、方百余里、上与連天。
夜中遠望するに、この水上、紅光日の如く、方百余里にして、上は天に連なれり。
―――そんな夜に、この付近の海を航海すると、遠く、この島のあるあたりに、太陽のような赤い光が百余里四方にわたって浮き出し、そのまま空につながっているのが見えるのさ。
ふなのりの間では、
竜王宮在其下矣。
竜王宮その下にあり。
―――あの下には海竜王の宮があるのよ。
と言い伝えているそうである。
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全国でリュウグウノツカイが打ち上げられております。彼らはここからくるのかな。
五代・蜀の杜光庭「録異記」巻五より。夜寝られなくなってきましたよ。