平成23年11月29日(火) 目次へ 前回に戻る
やっとれんですわ。うちの会社、一応ボーナス出るみたいだから、ボーナス出たらそろそろ例の作戦を開始するか。
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南宋の洪容斎先生のいうところによると・・・
永州の郡役所の表門には、真向いの小高いところに小さな祠があった。
ある晩、郡の録事参軍(郡守の秘書官)の何生がぶうぶう眠っていると、突然ひとり、接ぎの当たった古ぼけた衣服を着た老人が現れ、あわれげに言うよう、
「わしは門前の祠にまつられている神でありますのじゃ。
吾方土地神耳、非王侯也。
吾まさに土地神なるのみ、王侯にあらざるなり。
わしはただのこの地の土地神でしてな・・・、王さまや侯爵さまのようなおエライかたではござりませぬ」
こほん、と一度咳き込んで、続けて言う、
郡守毎出入、必経祠下。我輙趨避之、殊不自安。就君乞一帘蔽我。
郡守出入するごとに必ず祠下を経る。我、すなわちこれを趨り避けて、ことに自ら安んぜず。君について乞う、一帘(レン)もって我を蔽わんことを。
皇帝よりじきじきに任命された郡守さまがお役所から出入りされるごとに、わしの祠の真ん前をお通りになられる。そこでわしは郡守さまのようなおエライかたを見下ろすようなことになってはいかん、と思い、いつもいつも祠から走り出してお避け申し上げているのである。
少しも落着けないので、今宵、おまえさまのところにお願いに来たのじゃが、どうか、一枚の幕をわしの祠にかけてもらい、郡守さまを直接見下ろすことのないようにしてもらえないじゃろうか」
「帘」(レン)は、本来は店の看板として出される「はた」をいう。
・・・と話し終わって、老人はどこかに消え去って行った。
と、思うや目が覚めた。
翌朝、気になって夢で見た老人の言うたとおりにしてやったところ、その晩また老人が現れ、
「おかげさまで今日はゆっくり暮らすことができましたわい」
と言うて、何度も拝謝して行った。
―――ということである。
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「夷堅志」丙志巻一より。現世のおエラ方ヒエラルキーの上位になりますと、幻世の精霊ヒエラルキーの下の方よりはずっとおエラい、ということなのでございます。考えてみると、現世でおエラそうにしておられる方はあの世でもおエラくなるのでございましょうね。もしあの世へは現世の富も権力も持ち込めない、としたら、あの世へ行ったあとのことが気になって、こちら側ではあんなにエラそうにはできませんでしょうもんね。うはは。
ところで、初代・肝冷斎。少し気になることがあって、今日、きゃつを封じた例のところに行ってみたが、案の定、もぬけのカラでありまちたよ。あれほど何重にも呪禁したというのに、いったいどういう術を使って脱け出し、そしていまもおいらの机の上の水晶玉にも姿が映らぬとは、どこにひそんでいるのか・・・。おそろしいやつでちゅ。この戦い、長くなりそうでちゅよ。