平成23年10月16日(日) 目次へ 前回に戻る
また明日出勤か〜。仮面かぶらなきゃ。どこに置いたかな・・・。
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明日は月曜日かと思うとイヤになる弱いひとも多いと思いますので、見習うべき強いひとのお話を2題。いずれも淮南・亀山のお話です。
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金臂道人さま
北宋の大中祥符年間(1008〜16)、都・開封周辺で日照りが続いた。朝廷において雨を祈る高僧を探したところ、五台山で修行したという亀山の一僧が薦められて都にやってきた。
僧は開宝寺で祭壇を築き、一心不乱に祈ったが、最初の二日は雨が降らなかった。
三日目、僧は、祭壇の前で、ついに
断一臂。
一臂を断つ。
片っ方の腕を切り落としてしまった。
すると、
是日雨降。
この日雨降れり。
この日、沛然として雨が降った。
「おお、なんという法力ぞ」
かしこきあたりにまでその功験は伝えられ、
朝廷以金臂賜之、因号金臂道人。後建亀山水陸院。
朝廷、金臂を以てこれに賜い、よりて「金臂道人」と号す。後、亀山水陸院を建つ。
朝廷からは、「切り落とした片腕の代わりにせよ」と黄金製の腕を賜った。このため、この僧はその後、「黄金の腕尊者」と呼ばれるようになり、亀山に水陸の万霊を祀るための塔頭を立てて住持した。
かっこいい!
みなさんも憧れると思いますが、マネしてはいけません。
A
鉄羅漢さま
この塔頭を含む亀山寺には五百羅漢像があった。
南宋初め、金軍が北宋を滅ぼして、さらに淮南に兵を進めてきた建炎年間(1127〜30)のこと、この寺も金軍に攻められ、金の将軍は寺内に宋軍の生き残りが逃げ込んでいるかも知れぬと嫌疑をかけて、寺に火をつけようとしていた。
そこへ一僧が現われ、
祈哀求免。
哀を祈り、免を求む。
あわれみを乞い、ゆるされんことを願ったのであった。
「ええい、うるさい坊主めが!」
将軍、激怒して
撃其首。
その首を撃つ。
その頭を刀でたたき斬った。
ところが、
―――ぎん!
と金属がぶつかりあったような激しい音がして、将軍の刀は真っ二つに折れてしまい、僧の方は、
流血満面。
流血満面たり。
顔中に血をしたたらせていた。
が、
「うはは」
と笑いながら、逃げ出そうとする。
「な、なんと!」
将軍は恐怖を覚え、まわりの者に僧を追わせた。
僧走遂至羅漢洞。
僧走りてついに羅漢洞に至る。
僧は逃げ出して、五百羅漢が祀られている窪地に駆けこんだ。
「ようし、追い詰めたぞ」
しかし、窪地には僧の姿はなく、代わりに
一羅漢血流未止。
一羅漢、血流れていまだ止まらず。
羅漢の中に、あたまからどくどくと血が流れて、いまだ止まらないのが一体あった。
将軍はそれを見て、寺を焼くのを止めたのだという。
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ああ、ありがたやありがたや。みなさんも勇気が湧いてきましたかな。・・・・わしはダメ。わしの傀儡もAぐらい働いてくれたらなあ。「輿地紀勝」巻四十四より。