今日はワタクシの用で横浜まで二回往復したり、たいへんだったんです(おかげで居眠りする時間は普段より多かったが)。
もう眠いし寝ようかな・・・。
と、この世という宿の主人から、
「寝る前に何か書いてけ」
と言われました。
「いや、もう眠いのでので・・・」
と答えましたが、
「ダメだ」
というので、わしは筆に淋漓と墨含ませて、書いたのであった。
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世人結交須黄金。 世人 交わりを結ぶに黄金を須(もち)う。
黄金不多交不深。 黄金多からざれば交わり深からず。
縦令然諾暫相許、 縦令(たとい)然諾(ぜんだく)してしばらく相許すも、
終是悠悠行路心。 ついにこれ悠々たる行路の心。
世間のひとは付き合いをするのに、カネの有る無しから入るらしい。
カネが多くなければ付き合いも深くなくなるものらしい。
たとえ「よし、わかった」と今夜は互いに認め合っても、
明日はもうはるかに旅の人どうしのように心離れていくものだ。
〽 カネのあるやつは俺んとこへ来い 俺もあるから心配するな ・・・・
の世の中なのでございましょう。
「なんだと! わしはカネで動くニンゲンではないぞ」
と(みなさん)怒ってくるかも知れませんが、これはもちろんわたしが書いたのではなくて、唐の時代、張謂というひとが長安の旅宿の壁に書きつけたものである。(「唐詩選」巻七)
それをわたしは長安の宿屋ではなくて、この世という仮の宿屋の壁に書きつけたわけ。その意、明らかでありましょう。うっはっはー。