どうせみなさま、土用のうなぎでも食うておられるのでしょう。わしは食いませんけどね。胃も痛いし。
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宇奈木(うなぎ)のことをシナでは鰻鱺(まんり)というのである。
この鰻鱺(まんり)は
風雨陰晦則多。
風雨にして陰晦なればすなわち多し。
風吹き雨降り、うす暗い日にはよく獲れる。
しかし、
雖有風而晴、則日曜其目垂頭而不上網。
風あれども晴るれば、すなわち日のその目を曜すれば頭を垂れて網に上らず。
風があっても晴れていると、太陽の光がウナギの目にはまぶしいので、彼らは頭を下に向けて水底にへばりついてしまい、網のかかってこないのである。
「本当ですか?」
「これは漁師(「網家」)に聞いたことであるから本当である。
可験。
験(け)みすべし。
試してみるとわかる。」
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と、明・李厚徳が「戒庵老人漫筆」巻五にて明言しております。本当でしょうか。験みすべし、とまで言っているのですから本当でしょう。
とすると、この数日、東京ではあまり日がささず、涼しい日が続きましたから、ウナギは減ったことでしょう。チュウゴクでたくさん捕ってきているから、ニホンの天気はどうでもいいのかな?
―――そもさん。
おまえさんは高い崖から落ちそうになっている。
ただ口で木の枝を咥えて何とかぶらさがっている。手は枝をつかむことができず、足はぶらぶらと宙に浮いたままだ。
この状況下で、誰かが崖の下から
問、西来意。
西来の意を問う。
「達磨禅師はなにゆえ西方からやってきなすったか、ご存じか。(禅の本質とは何なのであろうか)」
と質問してきた。さあ、どうする?
答えるために口を開けば、おまえさんの身ははるかな崖下に落ちてしまうぞ。
さあ、どうする? どうする?
の