晋の武帝の太康九年(288)、幽州(現在の北京付近)でのことじゃ。
イヌが突然何かにおびえたように吠えだし、あろうことか、
鼻行地三百歩。
鼻で地を行くこと、三百歩。
鼻で歩きはじめ、三百歩ほども歩いたのだ。
よく調べてみると、この日は遠い許昌の都で、武帝が、宰相の和嶠らの進言に関わらず、暗愚な恵帝を太子に立てた日であった。
天戒若曰。
天の戒めて曰うがごときなり。
天が国家を衰えさせる行為を戒めて警告を発したのであろう。
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「晋書」巻二十八・五行志・中より。明日あたり、イヌが鼻で歩いたりするかな?