平成22年11月30日(火) 目次へ 前回に戻る
もうだめだ。しかし、月の終わりでもあるのでガマンして更新します。
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隋末、世の中が乱れはじめたころ、山西の太守・李淵は気味の悪い夢を見た。
身死墜床、為群蛆所食。
身死して床に墜ち、群蛆の食らうところとなる。
自分が死んで、床に転がっており、無数のウジムシがそれに取り付いて食い荒らしているのだ。
――――!
あまりの不吉に驚いて目覚めると、月の光しらじらと雲一つない夜更けであった。
(おそろしい夢であった)
・・・翌日、親しくしている僧侶・智満禅師がやって来た。心を許す友人の来訪に、李淵は冗談半分に、
「世間も騒がしいし、わしももう長くないのかも知れんのだよなあ」
と前夜の凶夢のことを告げた。
すると智満禅師は
「やや!」
と立ち上がり、李淵に向かって深々とお辞儀して、曰く、
「これはこれは。
公得天下矣。
公、天下を得ん。
あなたは、どうやら天下を手中にすることになりそうですな」
「はあ?」
「ようくお考えくだされ、
且死是斃也、墜床是下也。陛下、至尊之相也。
まさに死なんとするはこれ「斃」なり、床に墜つるはこれ「下」なり。陛下は至尊の相なり。
死んでしまう、というのは、「斃」(ヘイ)、斃(たお)れる、ということでございますし、床に落ちるというのは、「下」(カ)、くだる、ということでございましょう。続けて読めば、「へいか」=「陛下」ではございませんか。陛下というのは至尊のおすがたでございますぞ」
「ほお?」
群蛆所食、億兆趨附也。
群蛆の食らうところとは、億兆の趨(はし)り附するなり。
「無数のウジムシに食われている、というのは、一億・一兆の無数の人民どもがあなたのもとに走りより、その配下に入るということでございます。
おめでとうございまするう」
「え? えええ?」
と驚きましたが、やがて李淵は挙兵し、息子の李世民の助けを得て天下を半ば平定し、唐帝国を建てて高祖となったのでございます。
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夢見が悪いと逆にいいことがある、といいます。よかったですね。唐〜五代の変な話を集めた「紀異録」(宋の無名氏のものであろう)(「類説」所収)より。いやな日々が続きますが、みなさんは、今晩ぐらい逆にすばらしい夢を見ることができるかも知れませんよ。楽しみにしてね。
(明日は官邸前デモの日です。シゴトの無いひとは参加すべきか。なお、●主党幹部(○井前国家公安委員長)が国会開会120年記念式典で殿下に暴言・・・もうあかん。どうやって堪えればいいのであろうか)