平成22年7月23日(金) 目次へ 前回に戻る
南の国の春の好き日に、どうしておまえは帰っていくのだ
南の水は青 沙は白 岸辺豊かな緑の木々
それなのになぜ北へ帰っていくのか
南の国の水の女神が
二十五絃のおおごとを毎夜の月に奏でるから
とても悲しみに耐えられず帰っていくのか
瀟湘何事等閑回。 瀟湘(しょうしょう)より何事ぞ 等閑に回(かえ)れる。
水碧沙明両岸苔。 水碧(みどり)に沙明らかなり 両岸の苔。
二十五絃弾夜月、 二十五絃 夜月に弾ぜば、
不勝清怨卻飛来。 清怨に勝(た)えずして卻って飛び来たらん。
これは唐の銭起の「帰雁」詩である(「唐詩選」巻七)。春になって北に行く雁に呼びかけたものである。
一昨日の「瑟」の記述の参考に、と思うてこの詩を引いたのである。(「南」とか「北」とか言いたくて引いたのではありませんので念のため)
二十五絃でも耐え切れぬのだ、五十絃ならば如何ほどであったことだろうか。
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本日は以上で終わり。暑いし。
本日の記述は短すぎるように感じるかも知れませんが、
一竅通時、百竅通。
一竅(きょう)通ずる時は百竅通ず。
一つの穴が抜けられたら、百の穴が抜けられる。(一つの問題が解決されれば、案外他の問題も次々と解決されていくものじゃ)
と申しますでのう(「西遊記」第二回)。この短い記述でも、熟読玩味すれば、案外いろんなことの手がかりになるかも知れませんのじゃぞ。よくよく読むのじゃ。わしはもう寝ますが。