平成22年1月6日(水)  目次へ  前回に戻る

←今年から彼にも2890円の給料が出るらしい。

寒いですね。

センター試験も近く、受験生のみなさんも縁起担ぎなどに必死かも知れませんので、今日も足の「すべる」お話をいたしましょう。

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唐・玄宗皇帝の天宝年間、隠者の郭休というひと、一本の杖を持っていた。

色如朱漆、叩之則有声。

色、朱漆の如く、これを叩けば声有り。

色は朱色で漆塗りのように光り、何かにぶつけてみると「こん、こん」と美しく澄んだ音がした。

そうである。

郭休は出かけるときにはいつもこの杖を引きずっていた。

「お気に入りなのですなあ」

と声をかけると、郭休、「さあて」と首をひねり、

「気に入っているかどうか知らんが、これはたいへん便利な杖でしてな」

「はあ」

郭休の言うところによれば、

毎出処遇夜、則此杖有光、可照十歩之内。

出処して夜に遇うごとに、この杖に光有りて十歩の内を照らすべし。

出かけて夜になりますとな、この杖が光始めますのじゃ。十歩ほどの距離の間は照らし出してくれますのでな。

登危陟険未嘗失足、蓋杖之力焉。

危に登り険に陟(のぼ)るもいまだ嘗て足を失わざるは、けだし杖の力なり。

危ないところに登ったり、嶮しいところを歩いたりしても、これまで足を踏み外したりすべらせたりしたことがないのは、この杖の力なんでござるよ。

「はあ、そうなんですか」

「そうなんじゃよ、ひっひっひっひー」

と言い残して、隠者はどこかに行ってしまいました。

この杖には夜光の薬か何かが塗ってあったのかも知れぬが、そのときは昼間であったので、それを確かめることはできなかった。

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王仁裕「開元天宝遺事」より。

どうして夜中にそんな危険なところに行くのだ? と疑問を持ちましたが、隠者だから山の中などに住んでいる、ということなのでしょうか。だとしてもわざわざ夜中にそんなところ歩かなくてもいいのに・・・。このひとは忍者でしたとかノゾキが趣味でとか何か理由があるんだろうなあ・・・。

寒いのでもう寝ます。

 

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