唐・司馬承禎「天地宮府図」T―1
王屋山(河南) 小有清虚洞天
●尚書・禹貢にいう底柱析城、王屋に至る、というのはこの山である。
●山の中が空洞になっており、其の中に多くの仙人たちの住宅がある。その広きこと、王者の館のごとくである。
●杜甫の詩の中にも「憶う、昔、北の方小有洞を尋ねしを」と謳われている。
●頂上に天壇があり、いつも雲気があってこれを輪のように取り囲んで隠している。雷・雨の類はすべてこの天壇より下に起こり、飛ぶ鳥も背中しか見えぬ。いにしえより、仙人・神霊の朝に会するところと伝わる。
●この山麓は唐の司馬承禎の真理を修めたところである。白雲道院あり、承禎の名づけるところである。
●宋の徽宗皇帝、かつて遊び、天尊殿内の壁に自ら神仙・龍・鶴・雲気昇降・仙人たちの車や籠の類を描いており、これを見るにすこぶるすばらしい。
●仙猫洞なる洞あり。かつて燕真人が丹薬作りに成功し、そのエネルギーでニワトリやイヌとともに天上に昇っていった場所である。ただネコだけが同時に昇天できず、いまに至るもこの洞に住むという。洞の入り口より呼びかければネコの声が応えるのである。
(三才図会・地理九巻)
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