おそろしいことじゃのう。
ときどきこういうのを引いてみたくなってくるのです。
@乙巳年(康煕四年(1665))四月十七日朝。
武林富陽県太
忽于巳刻天気晦黒、有大石堕地、声如雷、折而為二。重数百斤。
巳刻に忽ち天気晦黒、大石の地に堕つる有り、声雷の如く、折れて二と為る。重さ数百斤。
午前十時ごろ、突然空が真っ暗になり、大きな石が、雷のような音を立てて地上に落ちてきたのであった。地上では二つに分かれ、(それぞれ)重さ数百斤であった。
一斤はほぼ600グラム。(ただし、この条は昨年12月24日にも引いた。メリクリ)
A同年十月十一日宵。
浙江・華亭でのこと。
有大星見東南、衆小星随之、或上或下、倏左倏右。
大星の東南に見ゆる有り、衆小星これに随いて、或いは上がり、或いは下がり、倏(たちま)ち左し倏ち右す。
巨大な星が東南に見えた。その星の回りには小さな星がいくつか随っており、ある星は上がりある星は下がり、突然左に動いたり右に動いたりした。
「いったい何であろうか」
とひとびと騒いでいたが、しばらくして、
大星隕、小亦随之隕。
大星隕(お)つれば、小もまたこれに随いて隕つ。
巨大な星が「すうー」と落ちて行き、小さな星もそれにつられて落ちて行って、見えなくなった。
そうである。
Bその翌々年の丁未年(康煕六年(1667))正月二十日夕暮れ方。
同じく華亭の街から
東北有火光、焔焔如焚、旋満西北。
東北に火光有り、焔焔(えんえん)として焚くが如く、旋(めぐ)りて西北に満つ。
東北方面に火のような光が見えた。大きな炎を焚いているようであり、やがてぐるりと西北の方にまで広がった。
居人疑失火、互相奔視、或登高望之。
居人失火せるかと疑い、互いに相奔りて視、或いは高きに登りてこれを望む。
市内のひとびとは(杭州の方に)大火事が起こっているのではないか、と疑って、てんでに走り回って見張り、あるひとは山に昇ってどうなっているのか遠望しようとした。
しかしこれは大火事ではなく、
見赤気亘天、逾一刻而滅。
赤気の天に亘(わた)るを見、一刻を逾えて滅せり。
赤い「気」が空に広がっていたのだ。一刻あまりして、消えた。
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いずれも明末清初のひと董蒼水「三岡識略」(巻五補遺)より。
ああ、こうなったらもう世界は亡びるに違いない!
と思うでしょうが、その後342年ぐらい経ちましたがまだ滅んでおりません。どういうことか。
@は単なる隕石だと思います。もしかしたらミサイルとか太陽系外縁部からのモノリスかも知れません。
Aは何じゃ? と悩ましいですが、UFOの母船と子船だと考えれば納得できます。
Bはオーロラが低緯度地方では赤く見えるそうですから、それでしょう。(←浙江地方で見えるとは思えないけど)
ということで、またまた近代科学で説明がつきました。