平成29年12月13日(水)  目次へ  前回に戻る

ぶた藩は今年も大豊作。食って食って食いつくす、でぶー。

昔の仲間と粉モノ食った。今日も苦しくなっております。

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晋の時代、顧霈という江南の富豪が、呉の昇平亭という建物で、あるひとの送別会を行ったときのことでございますが、

時有一沙門在坐。

時に一沙門、坐に在り。

ひとりの坊主が、送別会の席に連なっていた。

のでございます。

さて、宴の時間となり、

主人欲殺一羊、羊絶縄便走、来入此道人膝中、穿頭入袈裟下。

主人、一羊を殺さんとするに、羊縄を絶ちてすなわち走り、来たりてこの道人の膝中に入り、頭をを袈裟の下に穿ち入る。

主人の顧霈が料理のために一頭のヒツジを殺そうとしたところ、ヒツジはつながれていた縄を切って逃げ出し、席上のこの坊主の膝の上に駆けて来て、頭を袈裟の下に突っ込んで隠れようとした。

そして、

「めー」

と坊主の目を見つめて、鳴いた。

救いを求めたのであろう。

しかし、坊主はヒツジを捕まえると主人に引き渡し、

主人命即将去而殺之。

主人命じて即ち将きい去りてこれを殺す。

主人はすぐに料理人に命じてヒツジを連れて行かせ、屠らせたのであった。

じゅうじゅう。

ヒツジは焼肉になりました。

既行炙、主人先割以啖道人。

既に行炙し、主人まず割して以て道人に啖らわす。

焼肉になって回ってきたヒツジを、主人はまず切り取って、坊主の皿に盛って食わせた。

イキモノの肉を食ったら戒律違反のはずですが、

是流俗道人。

これ流俗道人なり。

こいつは俗人のやることに流されるなまぐさ坊主だったのです。

「うまいですなあ」

坊主は平気で焼肉を食いました。

道人食炙下喉、炙便自走行道人皮中、痛毒不可忍。

道人炙を食らいて喉を下すに、炙すなわち自ら道人の皮中を走行し、痛毒忍ぶべからず。

坊主は焼かれた肉を食って呑み込んだ―――すると、腹の中に入った肉が、それ自体意思を持つかのように僧侶の体の中を駆け巡りはじめ、僧侶は痛くて苦しくて耐えられない様子となった。

「いてて・・・、助けてくだされ」

「これはどうしたことじゃ」

と大騒ぎになりまして、

呼医来針之、以数針貫之、炙猶動揺。

医を呼びて来たりてこれを針するに、数針を以てこれを貫くも、炙なお動揺せり。

医者を呼んで来て針治療してもらったところ、医者が何本かの針で体内の「肉」を刺したが、肉はそれでもぶるんぶるんと動いた。

医者は針をぐぐぐー、と突っ込みまして、

乃破肉出之、故是一臠肉耳。

すなわち肉を破りてこれを出だすに、もとよりこれ一臠肉なるのみ。

ついに、僧侶の肉の一部を裂いて中の「焼肉」を取り出したが、どうみてもただのよじれた肉であった。

しかし、

道人於是得病、作羊鳴、吐沫。

道人ここにおいて病を得、羊鳴を作して、沫を吐けり。

坊主の方は体調がおかしくなり、

「めー」

と、ヒツジのように鳴きはじめ、口から泡を吹きだした。

いそいで寺に運んだが、

少時便死。

少時にすなわち死せり。

しばらくしたら死んでしまいました。

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伝・晋・陶淵明「捜神後記」巻四より。ああおそろしいなあ。僧侶が身を以て、肉類は食い過ぎてはいけません、という教えを遺してくれたのである。やはり炭水化物を中心に食べるのがよいのであろう。

 

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