答え合わせするよー。
ひねくれた世の中に適応してしまっているひとは、途中から「あれ?」と思ったかも知れませんが、1→7には順番にア→キが対応している、というとっても素直な問題でした。
1 益者三友(有益な三種類の友だち) ア 直、諒、多聞
2 損者三友(有害な三種類の友だち) イ 便辟、善柔、便佞
●孔子曰、益者三友、損者三友。友直、友諒、友多聞、益也。友便辟、友善柔、友便佞、損也。
孔子曰く、益する者に三友あり、損する者に三友あり。直を友とし、諒を友とし、多聞を友とするは益なり。便辟を友とし、善柔を友とし、便佞を友とするは損なり。
孔先生がおっしゃられた。
有益な友だちが三種類、有害な友だちが三種類あるんじゃ。
正直なやつ、誠実なやつ、物知りなやつ、は有益である。
ご都合で逃げるやつ、物柔らかに対応するだけのやつ、口先の巧みなやつ、は有害である。
3 益者三楽(有益な三種類の楽しみ) ウ 節礼楽、道人之善、多賢友
4 損者三楽(有害な三種類の楽しみ) エ 驕楽、佚遊、宴楽
●孔子曰、益者三楽、損者三楽。楽節礼楽、楽道人之善、楽多賢友、益矣。楽驕楽、楽佚遊、楽宴楽、損矣。
孔子曰く、益する者に三楽あり、損する者に三楽あり。礼楽を節することを楽しみ、ひとの善を道(い)うを楽しみ、賢友の多きを楽しむは、益なり。驕楽を楽しみ、佚遊を楽しみ、宴楽を楽しむは、損なり。
孔先生がおっしゃられた。
有益な楽しみが三種類、有害な楽しみが三種類、あるんじゃ。
礼儀と音楽を節度を持って楽しむこと、ひとのいい点を言いふらして楽しむこと、賢い友だちが増えることを楽しむこと、は有益である。
贅沢な暮らしを楽しむこと、ふらふらと目的も無い暮らしを楽しむこと、宴会で楽しむこと、は有害である。
5 侍於君子三愆(主君のお側に仕えるに当っての三種類のしてはならぬこと) オ 言未及之而言、言及之而不言、未見顔色而言
●孔子曰、侍於君子有三愆。言未及之而言、謂之躁。言及之而不言、謂之隠。未見顔色而言、謂之瞽。
孔子曰く、君子に侍するに三愆(さんけん)あり。言のいまだこれに及ばずして言う、これを躁という。言のこれに及びて言わざる、これを隠という。いまだ顔色を見ずして言う、これを瞽(コ)という。
孔先生がおっしゃられた。
えらいひとのお側にお仕えするに当っては、三種類のしてはならんこと、があるんじゃ。
@(えらいひとが)言おうとしていることを先に言ってしまうこと。これはお調子者という。
A(えらいひとが)言うように言っているのに言わないこと。これは隠し事という。
B(えらいひとの)顔に表れているご機嫌などを斟酌せずに物を言うこと。これは盲目という。
6 君子三戒(立派なひとが気をつけねばならない三種類のこと) カ 少時在色、壮時在闘、老時在得
●孔子曰、君子有三戒。少之時、意気未定、戒之在色。及其壮也、血気方剛、戒之在闘。及其老也、血気既衰、戒之在得。
孔子曰く、君子に三戒あり。少(わか)き時は意気いまだ定まらず、これを戒むるに色にあり。その壮に及ぶや、血気まさに剛、これを戒むるに闘にあり。その老いるに及ぶや、血気既に衰うれば、これを戒むるに得にあり。
孔先生がおっしゃられた。
立派なひとには気をつけねばならないことが三種類あるんじゃ。
@若いころは意志や気分がコントロールできないから、エロスのことについて気をつけねばならん。
A大人になるとやる気がまんまんになるから、争いごとについて気をつけねばならん。
B年をとってくるとやる気がなくなってくるから、既に得ているものを手放そうとしない執着に気をつけねばならん。
7 君子三畏(立派なひとが敬う三種類のこと) キ 天命、大人、聖人之言
●孔子曰、君子有三畏。畏天命、畏大人、畏聖人之言。小人不知天命、而不畏也。狎大人、侮聖人之言。
孔子曰く、君子に三畏あり。天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る。小人は天命を知らずして畏れざるなり。大人に狎れ、聖人の言を侮る。
孔先生がおっしゃられた。
立派なひとには敬っているものが三種類あるんじゃ。
@
神秘にしてひとを動かす「天命」を敬う。
A
偉大なる人格者を敬う。
B
古代の超絶の偉人たちの言葉を敬う。
つまらぬニンゲンは、「天命」というものを理解しないから尊敬することがない。偉大なる人格者には戯れる始末で、古代の偉人たちの言葉をばかにしているのう。
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すべて「論語・季氏第十六」より。
なお、「ク 生知、学知、困学」につきましては、また機会のありますときに。
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