行政法G(19.6.11)

行政組織法補論A 行政遂行のための手段に関する法A

2 モノについて・・・公物法

行政活動に利用されるモノについては、「公物法」といわれる一領域が形成されています。(そういう名前の法令があるわけではありませんが)

まずはこの領域で使われる特有の用語を知ってください。

⑴ 公物・公共用物等

 ○公物・・・国家または公共団体が直接に公の目的の為に供用する有体物。(学説上の概念)

   ・公共用物・・・公衆の要に供されるもの。・・・道路、河川、公園など

   ・公用物・・・官公署の要に供されるもの。・・・庁舎、学校の建物など

  ○自然公物・人工公物、自有公物・他有公物

○公共用物については、「公用(供用)開始」、「公用廃止」が行われる。

○公共用物の使用

・一般使用(自由使用)・・・本来の用法に即した利用(公園で散歩する)

・許可使用・・・本来の用法に合致した利用であるが、競合する利用の調整、管理上の支障の未然防止等を理由として許可制がとられている利用形態(公園で集会をする)

・特許使用(特別使用)・・・目的外使用又は通常の使用の範囲を超えた継続的利用(公園に広告塔を建てる)

 ○「公共施設」・・・公共の福祉を増進する目的で、国や公共団体によって設置・管理されている、国民・住民が利用する施設、及びその施設によるサービス。(水道、道路、バス、体育館、学校・・・)

○「営造物」・・・行政主体により特定の行政目的に供される人的手段・物的施設の総合体。学説上は「公共施設」と同じような意味で使われる。

⑵ これらのほか、実定法上では次のような言葉があります。 

※国有財産法(昭23法73)(3条)・・・行政財産(公共用財産・公用財産)・普通財産

※地方自治法(244条)・・・「公の施設」の概念。設置の条例主義、住民の利用権

※国家賠償法(1条)・・・「公の営造物」の設置管理・・・瑕疵を問われる。⇒(人的手段は除外)

⑶ 公物をめぐるトピックス

○一般的な民事取引への解消(例えば、公設体育館の供与は?)⇒供与義務、許可制による行政不服審査の活用などをどう考えるのか。

PFI事業

○国有財産の利活用・・・宿舎用地等の売却など

 

3 おカネについて・・・財政法

 国の予算その他財政の基本に関しては、財政法(昭和22法34)が定めています。このほか、政府のお金の入手(歳入)に関しては国税通則法等の各種税法、お金の使い方(歳出)に関しては、会計法(昭22法35)、補助金適化法(昭30法179)などにも規定されています。なお、近年においては、談合防止のために公共工事入札契約適正化促進法(平12法127)や談合防止法(平14法101)が制定されていますが、詳しくは「行政契約」の章に譲ります。

⑴ 予算・決算

 内閣は、毎年4月1日から翌年3月31日までの会計年度について、歳入歳出を編入した予算を国会に提出します(補正予算や暫定予算という概念があり、予算の提出は一会計年度について国会に提出されるのは一回だけではありません)。

 予算は一般会計と特別会計から構成されます。

 国会で成立した予算は、「各省各庁の長」に配腑され、会計法などの規定に従って執行されます。

会計年度終了後、歳入・歳出の決算は会計検査院に送付され、その検査を経たものを内閣が国会に提出します。

○財政法にはこのほか、次のような重要な規定があります。

・財政収入の国会議決主義(3条)・・・租税のほか、課徴金・専売価格・事業料金については法律又は国会の議決に基づいて定める。

・公債発行の原則禁止(4条)

     19年度に特別会計の改革が行われています(特別会計に関する法律)。

⑵ 財政投融資

 財政融資資金法(昭和26法100(資金運用部資金法:平成12に改題))に従い、政府の特別会計の積立金その他の資金をもつて国、地方公共団体又は特別の法律により設立された法人に対して確実かつ有利な運用となる融資を行うシステムです。かつて不透明性や巨大性が指摘され、平成13年に大改革が行われています。 

⑶ 社会保険

 健康保険、国民年金などの社会保険も、行政の活動のために使われているお金です。予算の特別会計の一部を構成しています。これらの社会保険のお金の徴収、支出については、国民年金法や健康保険法などの社会保障法に規定があります。

 

4 情報資源について・・・情報公開法・個人情報保護法

○行政情報資源管理サイクル

情報の収集 → 分析・施策立案 → 文書作成 → 管理・利用(→ 公表・公開→ 廃棄・保存

⑴ 情報の収集

  行政機関による情報の収集は、以下のような形でなされます。

    申請・届出による情報収集

「行政行為」(行政作用法で説明します)の過程での情報収集・・・新たに住民となった場合、事業を開始したい場合、免許の申請など

    統計調査(一般的目的)(統計法)・・・国勢調査など

    日常的な情報収集・・・マスコミ報道、関係機関照会、苦情・・・

    「行政調査」(具体的目的) 臨検、質問、出頭命令・資料提出命令、監視など

   法律の定めに従い関係人に対し書類等の提出その他報告を求めたり、工場、事業場、家宅等に立入り、身体ないし財産を半ば強制的に調査して情報を収集する作用(行政作用法で説明します)

  ・公益通報(公益通報者への不利益取り扱いに罰則規定→労働基準法、原子炉規制法、公益通報者保護法など)

⑵ 情報の管理・利用

  行政機関の収集した情報の管理等については、次のような決まりがあります。

  ○文書管理基準の作成

  ○行政情報の目的外利用

・本人の同意あるとき、所掌事務の範囲内での内部利用、統計作成・学術研究などの場合に限定(行政機関個人情報保護法8条2項)

・税務調査についての国税当局の協力要請(所得税法235条A)

○公表・・・白書(年次報告)など

⑶ 情報公開

※「人民が情報を持たず、それを取得する手段も有しないならば、人民による政府といっても、それは茶番か悲劇の始まりであり、おそらくはその両者である。」(ジェームズ・マディソン(アメリカ第四代大統領))なのだそうです。

 行政機関の保有する情報を行政機関の外部のひとも知ることができるようにする「情報公開」が進められてきました。平成13年、行政機関情報公開法が施行(公布は平成11年)されています。

1966年、アメリカ情報自由化法

  82年、山形県金山町条例、神奈川県条例

2001年、行政機関情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)の施行

  02年、独立行政法人等情報公開法(平成13法140)

 ○行政機関情報公開法(平成11法42)の内容

・目的(1)・・・@国民主権の理念、A行政機関の保有する情報の一層の公開を図る、もって

B政府の諸活動を国民に説明する責務を全うする、

C国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資する。

  ・対象機関(2)・・・国の機関。国会・裁判所は除く。警察機関、国防・外交機関、会計検査院は含む。

  ・対象「情報」(2)・・・行政文書(組織共用文書)

・開示請求権者(3)・・・「何人も」。外国に在住する外国人を含む。限定の意義が乏しいこと。目的も不要。

・請求手続き(4)

開示請求→法定非開示事項でない限り、30日以内に開示を決定、その旨を通知して、開示する。

・法定非開示事項(5、9、10)

 @個人情報

A法人等事業情報

B国の安全等に関する情報

C公共の安全等に関する情報

D審議・検討情報(意思形成情報)最判平成16.6.29→行政意思の決定後であれば、公正な意思形成を妨げるものではない)

E事務・事業情報

・モザイクアプローチ(5一かっこ書き)

・部分開示(6)

    存否を明らかにしない拒否(8)

(ここから次回)

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・行政機関の移送、第三者の意見提出機会などの手続(12、13)

・不服申立て→行政機関の長→情報公開・個人情報保護審査会(インカメラ審理)(18〜)

・特定管轄(行政事件訴訟法に受け継がれた)

・会議公開

・地方公共団体の情報公開条例(26)

※行政手続オンライン化法(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律)(平成11年)

⑷ 個人情報保護

行政機関が情報を収集・公開する以上、収集された個人情報の保護が前提とならなくてはいけません。「個人情報保護」についても、行政機関個人情報保護法が制定されています。

プライバシー保護8原則(1980経済協力開発機構(行政部会))

1982(昭和57年)行政管理庁プライバシー保護研究会報告

個人情報保護条例(昭和59年福岡県春日市)

1988年「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」

2003年「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」「個人情報の保護に関する法律」

○行政機関個人情報保護法(平成15法58)の内容

    行政機関は、必要な範囲内特定の利用目的に供するため個人情報を保有することができる。(3@)

    取得目的の明示、正確性、データの適切管理(漏洩、滅失、毀損しないよう)、利用目的以外の目的のための利用の制限(3〜6)

    個人情報ファイルの作成・保有に際しての公表(11)

    個人情報ファイル+文書上の情報=保有個人情報(3B)

    「何人も」自己に関わる個人情報の開示を請求することができる。(12)(情報公開法では、自己に関する情報であっても、プライバシーに関わることなどは非開示とされる)

    自己情報の非開示の場合→本人の生命・健康、第三者プライバシー、公務の適正遂行等を害するおそれがある場合(14)

    自己に関する情報に謝りがあると思料する場合→訂正請求権(27)

    個人情報の違法取得などがあると思料する場合→利用停止請求権(36)

    開示請求等→30日以内に当否を判断(19)

    不服申立→情報公開・個人情報保護審査会への諮問(42〜)

(個人情報保護法について)

     個人情報取扱事業者への規制を定める。保有個人情報保護団体の認定制度・苦情処理

     論点:適用除外(50条1項)(特に報道について)

⑷ 廃棄・保存

  文書管理規則(情報公開法22)による廃棄年限の定めまでは保存

  歴史資料としての保存:国立公文書館法15条1項

 

 

 

 

 

 

4 条例と法令

⑴ 条例制定権の限界

    当該地方公共団体が処理すべき地方的利害に関わる事務を対象とし、

    法令の規定に抵触しない内容を定めるもの

 

⑵ 条例の対象となる事務(地方自治法2条)

@    地方公共団体が処理すべき地域における事務

A    法律又は政令で処理すべきこととされている事務(機関委任事務×、法定受託事務○)

 

 ⑶ 法律の専権事項

    刑事犯の創設(憲法31条・罪刑法定主義)、物件の設定・経済統制など財産権の基礎事項(憲法29条)

     財産権の行使への規制は可能か→最高裁昭和38年ため池条例事件判決

 

⑷ 住民に義務を課し、その権利を制限するには条例による必要(地方自治法14条A)(侵害留保説)

 

⑸ 「法令の規定に抵触しない内容」(先占関係)

    国の法令が未規制の領域・・・条例での規定が可能(先占)

    国の法令で定めていることを邪魔するような規定・・・条例での規定は×。(積極的抵触)

    国の法令の規制と別目的での規制・・・条例での規制が可能(近隣迷惑条例での飼い犬規制)

    単純な先占理論では対応できない事項

@スソ切り規制・・・法令で規制している対象よりも小規模であるため規制対象とならない施設等への規制(△)

A上乗せ規制・・・法律の規制を上回る厳しい規制をかける

B横出し規制・・・法律が規制していない対象にも規制をかける(スソ切規制はこの一種)

    最大限規制立法か最小限規制立法か

(最高裁昭和50年判決⇒法律の規制の趣旨が全国一律の均一的規制を目指している場合には条例で上乗せ・横出し規制を定めることは許されないが、法律が最小限の規制を定めるに過ぎないとみられるときは地方公共団体が地域特性を配慮して条例で規制の強化を図ることも許される)